8月1日 EPISODE1: さぁ、でかけよう
AM4:30に目を覚まし、ちょっくら、シャワーを浴びた。 Gジャン、皮ベスト、皮パンに着替え、荷物を単車に積み込んだ。当然のことながら、荷物は前日にすべてパッキングは終えており、出発の準備はあっさり終わった。
空は灰色。
「やっぱ、天気予報どおり、振るんだろうな。。。」
毎年恒例の”雨降りスタート”になりそうな空の下、エンジンに火を入れた。
「さあ、でかけよう。」
8月1日 EPISODE2: ファイア・バード
AM6:00頃、札幌の自宅を後にし、目的地である利尻島に向かうべく R275へと向かった。さすがに、こんなチョッパヤに道が混んでいるはずもなく、あっさりとR275に合流できた。
R275を走り始めてから1時間位たった頃だろうか。場所は浦臼町。遠くに”火の鳥”と手書きのうさんくさい看板が見えた。どうやら野菜の直売所らしい。
「喉が渇いたな。。。」
ふと見ると ”火の鳥” の前に自販機があったので、そこで一服することした。
”火の鳥” に単車を停め、自販機に向かい、小銭を入れた。
「チャリン!カラカラ。。。。、チャリン!カラカラ。。。。」
何度入れても返却口からでてくる。
すると、野菜売場で ”とうきび” の皮を剥いていたオッチャンが
「ああ、それ、コンセント入れてから金入れてくれぇ~。」
と、のたまった。俺は「なんちゅう適当なオッチャンなんだ。。」と、思いつつコンセントを入れた。
しかし、考えてみると、コンセントが入っていないってことは、缶ジュースが冷えてない のは目に見えている。だが、喉が乾いていたので買ってしまった。。。
オッチャンが
「おう、ついでに、とうきびでも食ってけや。」
と、一言。
これも、あっさり、 買ってしまった。。。
(朝飯食ってないから、腹が減って、なすがままだ。。。。)
そして、”ゆでとうきび ”と缶ジュースが朝飯になった。朝飯を食いながら、オッチャンとなんやかんやと話をしながら、一服終了。
帰りがけにオッチャンが「これもってけ。」と、おいしそうなトマトを一個くれた。俺は釣りエサ用に持ってきたクーラーバックにそいつを入れて ”火の鳥” を後にしようとした。
そのとき、ふと、目にとまったのが、「よってけライダー! ライダーハウス」とかかれたバスを改造した小屋だった。さみしいことに、こんな朝早いのに、単車一台、人っこ一人いなかった(ってことは、昨日の夜からだよな。。)。
なんか、オッチャンがさみしそうに見えた。「今日は誰かくるといいね。オッチャン。」と心で思いながら、オッチャンにトマトのお礼を言って ”火の鳥” を後にした。
でも、どうして、野菜の直売所 が ”火の鳥” なんだろう?
聞けば良かった。。。
8月1日 EPISODE3: キャンプやろう
”火の鳥” を後にし、しばらく走っていると濡れた路面がでてきた。場所は雨竜町付近。 読んで字のごとく「雨」、「滝」(っぽい。笑)。雨男である俺にとっては、縁がありそうな名前だ。
「ああ、やっぱし今年も来やがったか。。。」
嬉しくない恒例の行事である”雨”が始まった。
空も段々暗くなってきやがったので、道端に単車を停め、レインスーツに身を包んだ。
「さあ、降るなら、降りやがれ!」
と思いながら、しばらく走ると、ホントに降ってきやがった!
やはり、俺は雨男である。
どこかに出かけようとするとすぐに雨が降りやがる。
「水もしたたるいい男」ならば良いのだが、したたるどころか、海に落ちたかのような、ずぶ濡れになる。
しかも、今回は天気予報で「こっちは雨が降りますよ!」って方向に、わざわざ向かっているのである。あ~~~、情けね。
とりあえず、雨竜町、北竜町を越えR275からR232に入り留萌に向かった。
留萌直前からFUELランプが点灯し始めた。
「うげ、、やっべ。」
そうなのである。やばいのである。俺の単車('88 XV400ビラーゴ)のタンクは10リッターしか燃料が入らないのである。6~7リッターあたりからランプが点灯し始めてしまう。
120km程度で、すぐにFUELランプが光り出す。まるで、ウルトラマンのカラータイマーのようである。
まったく、早漏な単車だ。しかも、このタンク、なんとシート下に給油口があり、GS(ガソリンスタンド)に入るたびにシート上の荷物を降ろさなければならない。ん~~、まったく、やっかいである(いいバイクではあるが)。
「YAMAHAはなんでこんな中途半端なつくりにしたんだろう?」
と時々思う。 俺の単車はいわゆる「1型」ってやつで、この後に「2型」にマイナーチェンジされたものは、タンクが普通の位置に戻っている。
「途中で戻すんだったら、最初からシート下にタンクなんかつけるな!!」
と思ってしまう。多分、そう思っている奴は俺だけではないだろう。
まあ、そんなことはどうでもいいが、とりあえず、留萌で給油し、稚内方面へと向かった。 途中、羽幌付近で雨が強くなってきた。かなりの勢いで降っている。
「やっぱ、俺は超雨男なんだな。」と実感した。
とりあえず、雨が強いので、羽幌の「道の駅 ほっと羽幌」で休憩。
「そうだ。そう言えば今日は会社の連中が野郎5人でキャンプだって言ってたっけ。」
と思い、とりあえず、ここで会社の友人に雨の状況を携帯電話で報告した。
それにしても、野郎5人でキャンプとは、暑苦しい。俺は心の中で、
「ああ、行かなくてよかった。一人でよかった。」
と思った。ん~~~、野郎5人で何をするんだろう??不思議だ。。。
俺は心の中で応援した(なんでだ?)。
がんばれ「キャンプ野郎」
8月1日 EPISODE4: 幻覚
羽幌を抜けR232を北上しR40に向かった。とにかくひどい雨である。
ああ、まったくひどい。大粒の雨が体じゅうを打ちつけやがる。メットのシールドは、ほとんど見え ない状態であり、なんど指で雨を掻いてもすぐに見えなくなる。
さらに追い討ちで、 北海道の道はワダチが多い為、水が溜まっており、対向車が来るたびに津波がやってくる。
「ちくしょう!水ぶっかけやがって!この腐れドライバー!!」
と思っても、この雨じゃ、しょうがないので諦めるしかない。
しかも、走れば走るほど、ますます 雨がひどくなってくる。
俺はだんだんおかしくなってきた。
「うぅ~~ひゃひゃひゃ、 降れ降れ!!もっと降れぇ~~!
好きにしやがれぇ~~~!!」
「どうせ、俺は雨男だ!何が悪い!!」
と一人逆ギレ。
もう、雨なんてどうでも良くなってきた。そんなさなか、またもやFUELランプが点灯しやがった。遠別町付近である。ちょっと、危険であるが手塩町 まで走って給油することにした。
手塩町に入り、更に豪雨、ツーリング暦10年弱 であるが、こんなにひどい雨は始めてだった。
「ったく、なんで、いっつも、こうな んだよ!!!!」
と、誰に怒っていいのか判らないやり場のない怒りを感じつつ(そりゃそうだ。自然に怒ってもしょうがない。)、2度目のGSに入った。あまりの 雨のひどさに、さすがに商売とは言え客が入ってくるとGSのオバチャンは嫌な顔をしていた。
とりあえず給油を終え、俺が「中で一服していいですか?」というとオバチャンは「いいよ、この雨が小降りになるまでやすんでていいよ。」と言ってくれ、レインスーツがズブ濡れだったので、おばちゃんがタオルを出してくれた。
そして、 一服。一服していると室蘭ナンバーのVMAX,GSXR1100等の単車3台が入ってきた。 ビックバイクだらけだ。その3人も中に入ってきた。
「ひどいですねぇ~、この雨。」
と、そのうちの一人が話し掛けてきた。
「そうですね。今日はどっち方面から来たんですか?」
と聞いてみた。
「稚内からですよ。」
と言った。俺がこれから向かう方面なので、 雨の状況を聞いてみた。
「どうでした?雨。ここと変わらないですか??」
と聞いてみた。 すると
「。。。。げ、幻覚みます。。。。」
と 一言。そして、
「な~~んにもない中で暴風雨にやられますよ。気をつけた方がいいですよ。」
との事。俺は「ああ、やっぱし。。。」と思い ながら、とりあえず彼らが向かう留萌方面の状況を教えた。
「留萌あたりまではそんなにひどくなかったんで、南に向かって行けば段々良くなると思いますよ。」
と情報交換を清ませGSを出ることにした。
外にでる間際、3人のライダーに向かって俺が一言。
「幻覚。 みてきます。」
そして、3人のライダーから
「いってらっしゃぁぁ~~~い。気をつけてぇぇ~」
8月1日 EPISODE5: 演歌の花道
手塩町を抜け、R232からR40に入り、一路、稚内へ向かった。
さっきの3人のライダーが言っていた「幻覚」を恐れながら走った。
しかし、不思議なことに雨足が弱くなっていた。
なんか、気分がいい。対向車もあんまし来ないので、
「歌でも歌いながら走る か!」
となぜか御陽気さん。
「さあ、なぁ~~にを歌おっかなぁぁ~~。」
と 思った瞬間、頭の中には。。。。。。。。
「ちゃぁ~♪ちゃららららん♪ちゃららららぁ~ん♪
はぁ~~るばる、来たぜ!はぁ~~~こだてへぇぇぇ~~♪」 (函館の女)
「。。。。。。。や、やっべ。。な、なんで。。。。。。
アメリカンの単車に乗っているのにも関わらず、なんで演歌なんだ?!ちくしょう!Born to Be Wild. でも歌ってやる!」
と思っても、
「ちゃぁ~♪ちゃららららん♪ちゃららららぁ~ん♪
はぁ~~るばる、来たぜ!はぁ~~~こだてへぇぇぇ~~♪」
はっ?! やっぱ、駄目だ。。 頭からはなれない。
しょうがないので清水アキラ先生お得意の替え歌で攻めることにした。
「はぁ~~るばる、来たぜ!さぁ~~け茶づけぇぇぇ~~♪
さぁ~~かまく、波も、のぉ~~り茶づけぇぇぇ~~♪」
と、まあこんな具合である。その後も他の曲を歌おうとしたが、でてくるのは演歌ばかり。おっちゃん年くったな。。。。
そんなこんなしていても、走行中の風景は花畑、草原。そんなのばかり。
対向車もほとんどこない。そして、引き続き、
なぜだか、やっぱり、
「演歌の花道」
8月1日 EPISODE6: ゆらゆら、ぐるぐる。(Rock'n Roll)
PM1:00頃、「演歌の花道」を終え、やっとのことで稚内に着いた。
ここまでの走行距離 約320km。時間にして約7時間。とてつもなく長かった。
ケツがひじょぉ~~~に痛い。
いくらアメリカンとはいえ7時間も乗ってりゃ、ケツも痛くなる。しかも、タンデムシートには荷物が載っているため、人間の乗るシートスペースがケツ一個分(2分割で2個分?!)なので、膝が曲がりっぱなしで、膝も痛かった。
そして、稚内市内に入りフェリーターミナルに向かい、PM1:30頃、フェリーターミナルに着いた。
乗船予定の船の手続きをするためターミナルの受付に行った。乗船予定の船は「15:30 利尻島 鴛泊行」である。
とりあえず、2等客室1枚と単車の乗船手続きを済ませた。
なんか、腹が減った。 乗船まで1時間以上あるのでターミナル横に出店が出ていたので行ってみることにした。
なにかの祭りのようだが、「杉尾聖二ショー」なるものがやっていた。
「ああ、また、演歌かよ! 誰だ?杉尾聖二って?」
と思いつつ、出店でやきそばを食った。ん~~~、脂っこい。胃をやられそうになりながら、単車のところに戻った。
そういえば、 朝に「火の鳥」のオッチャンがくれたトマトがあった。胃がもたれていたので、とりあえず口直しに、単車に座りトマトにかぶりついた。
そうこうするうちに、PM3:00になっていた。
俺は単車と共にフェリー乗り場に向かった。フェリー乗り場ではライダー4人とチャリダー大勢が既に待機していた。
フェリーが到着し、利尻からの乗客を 降ろし終わった頃、いよいよ乗船だ。
単車と共にフェリーに乗り込んだ。単車をロープが固定された後、俺はデッキへと上がった。船室には入らず、デッキのイスに腰掛けた。すると隣に座っていたライダーが話し掛けてきた。
「今日はどこに泊まる予定ですか?」
「ん~、利尻に着いたらフェリーターミナルに近いキャンプ場を適当にさがそうかなと思ってるんですよ。」
と俺が答えると。
「あっ、じゃあ、僕とおんなじですね。今日は風が強いらしいんで、山側に行った方が良いみたいですね。」
と彼が教えてくれた。そうこう話していると彼の友達が来て、船室の方に入っていった。
そろそろ出発かというころ、船内アナウンスが入った。
「お客さまにご連絡いたします。乗船予定のお客さまをのせた飛行機が遅れております。 到着次第出発いたしますので、しばらくの間お待ちください。」
待つこと30分。物凄い勢いでフェリーの方に向かって爆走してくるバスが見えた。それにしても、えらい爆走ぶりだ。ぶっ飛んで来たって感じ。
そのバスが入ったかと思ったら数分もしないうちに出発した。「すげぇ、早いな。」と思った。バスが乗ってからしばらく時間がかかると思っていたからだ。関心した。
フェリーは一路、利尻へと向かった。それにしても揺れる。
ロックンロール張りだ(よくわからん。。)。あまりにも揺れてしょうがないので、揺れを補正することにした。
えっ?補正って、ナニって?
言わずと知れた魔法の水である。大正漢方の「飲む前に、飲む!」張りに「ヨう前に、・・・」で行こうと心に決めた。
とりあえず500mlの魔法の水を買い、一気に飲み干した。ん~、眠い。
さすがにAM4:30起きはつらかった。眠気が襲ってきたので寝ることにした。
目が覚めると到着10分程前だった。座ったまま寝ていたので、首が痛い。
フェリーからは利尻島が見えている。船内アナウンスが入り単車のもとへと向かった。
フェリーが利尻の港(鴛泊港:イタドマリコウ)に着き、ゲートが開いた。
単車に火を入れ、乗用車が降りるまで待機していた。
その後、単車と共に利尻の地を始めて踏んだ。
「とぉ~~~ちゃぁ~~~~く!!やっと、着いたぜ。長かった。。」
しかし、地に足がついているのに、まだ、
「ゆらゆら、ぐるぐる。」
8月1日 EPISODE7: 疲労困憊Z
フェリーターミナルで今日のキャンプ場をどこにしようかと考えていると、さっき、フェリーの中で話し掛けてきたライダーがやって来た。
「ここから一番近いキャンプ場の行き方を教えてもらいましたよ。」
と彼がそこまでの行き方を教えてくれた。その彼は見た感じ18,19歳位で妙にテンションが高かった。ライダーを見かけると話し掛けまくってるって感じだった。
彼を見ていると自分の学生時代を見ているようでちょっと懐かしくなった。
彼はCBR250RRに乗っていた。自分も学生の頃、NSR250R(どちらもレプリカと呼ばれるレーサータイプの単車)で彼のように北海道を駆け巡っていたのを思い出した。
あの頃は、なにもかも新鮮で、彼と同じように会う人会う人に声を掛けていた。
最近はツーリング慣れしてしまったせいか、あまり、自分から話し掛ける事はしていないのが現状である。まあ、勢いがないだけなのかもしれないが。
ああ、年を感じる今日この頃である。
余計な話はこの辺にしといて、とりあえず、キャンプ場に向かった。
キャンプ場へ行く途中、「利尻温泉」なるものがあった。温泉好きの俺にはたまらなく魅力的な施設であった。
「今日は面倒くさいので入らないが明日からは毎日はいる!」と
と言い聞かせ、見過ごすことにした。PM6:00頃、キャンプ場に着いた。
キャンプ場の名前は「利尻北麓野営場」である。ここは利尻富士の登山口にあり、登山目的の人が多かった。登山目的と言っても、ライダーやチャリダーが多い。
雰囲気は森林に囲まれた静かな野営場といった感じなのだが、トイレや炊事場がやたらときれいなのには驚かされた。
今日は疲れたので、とりあえずテントを張り、メシを炊いて食って寝ることにした。
で、まずはテントを張り、荷物をぶち込んだ。
その後即効、メシを炊き、自宅の近所の100円ショップで買ったレトルトカレーを ぶっ掛けて食った。食ったら眠くなってきた。
眠い、とにかく眠い。
疲労困憊で、あっという間に
「Zzzzzz------- --」